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循環器科 (内科) | |
| 人吉・球磨地域の中核病院として,かかりつけ医の先生方と連携をとりながら,エビデンスに基づいたスタンダードな循環器診療を行います. | ||
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心血管疾患の入院診療および紹介外来診療・特殊再来診療に従事しています. 現代の循環器診療は医学の進歩に伴い高度化・専門分化しており,心臓外科のない当院での循環器診療には一定の限界がありますが,「地域完結型医療」を目標として努力しています.
当科の特徴を以下にまとめます.
動脈硬化性疾患:心電図・心エコー図・血管エコー図・運動負荷心電図・心筋シンチグラムなどの非侵襲的検査を駆使しながら,虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患の診断を行っています.2008年4月より画像診断センターが開設され,同年5月より64列マルチスライスCTが導入され,CTによる冠動脈評価が可能となり,循環器診療に大きく寄与しています.
適応症例には「心血管カテーテル検査」を行って治療方針を決定しますが,大腿動脈(太ももの付け根)からではなく,橈骨動脈(手首)からの検査を得意としています.充分な病状説明を行い,納得と合意のもとに「冠動脈カテーテル治療」を実施します.この治療も主に橈骨動脈アプローチで施行しており(2003年:80%・2004年:94.7%・2005年:81.5%・2006年:66.2%・2007年:73.3%・2008年:83.3%・2009年:88.2%・2010年:83.9%),待機的症例では(大腿動脈経由での治療と異なり)治療後の歩行も可能なほど低侵襲です.急性心筋梗塞症例などで緊急カテーテル検査を行う場合でも,可能な限り橈骨動脈アプローチで行い,ご高齢の方の体力負担を軽減するのに貢献しています.また、血管内超音波検査により冠動脈プラークの性状を評価し,冠内圧測定により心筋虚血を生じうる冠動脈病変を同定し,症例毎に最適な治療を行っています. 2004年8月より,本邦で「薬剤溶出ステント」が使用可能となりました.すでに海外で多数の患者さんに使用され,驚異的な再狭窄率の低下が証明された冠動脈ステントです.ただ、これまで使用されてきたベアメタルステントと比べ,治療後の服用が欠かせない抗血小板薬の服用期間が長くなることから,現時点での当科の方針は「抗血小板薬が副作用なく服用でき,ご病状を良く理解できる患者さんにのみ使用を検討する」こととしております(2004年:3例,2005年:21例,2006年:30例,2007年:29例,2008年:22例,2009年:31例,2010年:27例に使用). 動脈硬化は冠動脈だけではなく全身の血管に起こり,臓器障害を引き起こしますが,血行再建を行うことで臓器障害が改善し得ることがわかっています.前述のような検査方法の多様化と技術の進歩により診断精度が上がり,腎動脈・四肢の動脈・頚動脈などの病変が検出されるようになってきています.当科でも末梢血管に対するカテーテル治療を行っております(2004年:1例,2005年:5例,2006年:8例,2007年:9例,2008年:9例,2009年:7例,2010年:2例).
心不全:各種心疾患の終末に共通する病態です.当地域では高齢者が多く,入退院を繰り返すような低心機能の方も少なくありません.心負荷軽減のため血圧管理を厳格に考える必要があり,塩分制限などの生活指導を行うとともに,利尿薬・RAA系抑制薬などの内服薬をベースにしながら症例に応じてβ遮断薬を導入しています.適応のある重症心不全の方には在宅酸素療法も実施しています.心不全増悪時には静注利尿薬や血管拡張薬を使用し,重症例には交感神経作動薬なども適宜併用しながら速やかな症状改善をはかり,入院期間を短縮して早期の社会復帰を援助しています.また,2006年4月より「心大血管疾患リハビリテーション」の適応疾患として保険診療で実施できるようになり,積極的なリハビリテーションを開始してADL拡大・QOL向上に努めております.
不整脈:ホルター心電図による評価を積極的に行っています.徐脈性不整脈に対して,必要な症例ではカテーテルによる「電気生理学的検査」を行い,適応があれば人工ペースメーカの移植術を実施しています.ペースメーカ治療の進歩にも対応しており,リード損傷や気胸などの合併症を生じる可能性が極めて低い「胸郭外鎖骨下静脈穿刺法」で施術しています.また,従来のリード留置法である右室心尖部ペーシングは非生理的(心電図でのQRS幅が広くなります)なため遠隔期に心不全を惹起する確率が高いことから,より生理的な(QRS幅の狭い)「右室中隔ペーシング」を原則として全例に実施しています.さらに心房ペーシングについても,症例に応じて従来の右心耳ペーシング(P波幅が広くやや非生理的)ではなく「右房中隔ペーシング」(P波幅が狭くより生理的)を行っています.さらに,救命のみならず退院後のQOL向上にも留意しており,ペースメーカクリニック時には多職種でのカンファレンス内容をもとに,患者個別の作動条件を設定できるよう努力しています. 頻脈性不整脈に対しては各種抗不整脈薬でのコントロールを行いますが,適応があれば熊本市内の専門病院に紹介し,根治療法としてのカテーテルアブレーションを受けていただいています.また,心室細動や無脈性心室頻拍などの致死的な不整脈を有する方につきましては,熊本市内の専門病院で植え込み型除細動器を留置していただいています.なお,心房細動症例(脳梗塞などで入院治療中の方など)に対しては,経食道心エコー図検査を行って心内血栓の有無を評価し,適切な抗凝固療法を実施しています. その他の疾患:重症の虚血性心疾患・心臓弁膜症や大動脈解離・大動脈瘤などの血管疾患の方には,主として熊本市内の胸部心臓外科施設に依頼して手術を受けていただいています.いずれの施設とも良好な連携がとれており,緊急を要する場合には熊本県の防災ヘリコプターを利用して短時間で搬送することも可能です. 心臓リハビリテーション: 心筋梗塞・狭心症・心不全などに対する「包括的心臓リハビリテーション(心リハ)」が予後を改善することが多数の臨床研究で証明され,近年脚光を浴びています.また,心リハは多職種にわたる医療従事者が個々の患者への診療に協力してあたりますので,チーム医療・テーラーメード治療の典型的な形態であり,予防医学にも関係しますので,「先端医療」ともいえます. 当院では2003年度より4階病棟の看護師が中心となり,当科に入院された心筋梗塞の方に対して本格的に急性期心リハを開始しました.その結果,高齢者が多数を占めていたにもかかわらず,在院日数に影響することなく安全に実施できることが当院でも証明されました.
2004年11月より心疾患リハビリテーション料(現心大血管疾患リハビリテーション料)を算定できるようになり,心リハ室を設置しました.運動療法のみならず,栄養指導・服薬指導・禁煙指導(当院断煙外来を利用できます)などの生活習慣改善やメンタルサポートにも取り組んでいます. また毎週カンファレンスを開き,スタッフ(循環器科医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・臨床検査技師・社会福祉士・薬剤師・健康運動指導士など)間の情報を共有し活用するよう努めています. 現在,日本心臓リハビリテーション学会認定心臓リハビリテーション指導士が7名(医師1名・看護師2名・理学療法士1名・臨床検査技師2名・健康運動指導士1名)在籍しています.
2007年4月には呼気ガス分析装置が設置され,「心肺運動負荷試験」を施行して運動処方を行うようになり,より精確な運動療法の実施に努めております. 以上のような取り組みが心リハに参加なさった方々からの支持を得まして,2005年2月から毎月1回「心リハ患者会」が開催されるようになりました.運動指導・栄養指導・疾患教育など,毎月テーマを決めて講演と実践を行っており,毎回20名近くの方が参加されています.自然発生的にできた集まりですが,心疾患に罹患なさった方同士の交流も深まり,有意義な活動へと発展しています.2009年3月で50回と会を重ね,同年4月から「清流ハートクラブ」と命名されて,新たな展開が始まりました.(2011年4月までに通算75回開催しております)
急性期病院でありながら回復期,さらに維持期の方の診療支援も行うという,きわめてユニークな地域密着型システムを構築してきました(病診連携の観点から,通常の外来診療はかかりつけの先生に担当していただいています).このような活動が評価され,九州内の他施設から心リハの見学にいらっしゃる機会が急増しております(大牟田天領病院・佐世保共済病院・熊本地域医療センター・荒尾市民病院・九州労災病院・千早病院[福岡市東区]・大分岡病院・上天草市立上天草総合病院など). 日々の診療で多忙な中にあっても,最新の知見を獲得しつつ情報も発信するために,限られた時間ですが研究活動を行っています.学会にも寸暇を惜しんで参加し,継続的に演題発表を行っています.主に熊本大学大学院循環器病態学講座と協同した臨床研究に参加しておりますが,2008年からは当院の臨床研究コーディネータとも協力して院内での臨床研究も開始しました.さらに,心臓リハビリテーションに取り組んだことから,院内ヘルスケアスタッフの学会発表もサポートしており,こちらも毎年学会や研究会に参加しています. また,地域の先生方やヘルスケアスタッフの皆さまと一緒に学習する場として,循環器懇話会(年数回開催)などを開催しています.加えて、院内教育にも力を入れており,カテーテル検査・治療の勉強会や心エコー図の勉強会・心臓リハビリテーションの勉強会などを行っています. 2003年より臨床検査技師を対象にソノグラファーを養成し,済生会熊本病院や熊本労災病院で研修いたしました.2004年より心エコー図検査を担当するようになり,検査件数の増加にも対応しています.2006年に2名が,2007年にも1名が日本超音波学会認定超音波検査士(循環器領域)の資格を取得し,ソノグラファーの質が年々向上しています.
病診連携:当院病診連携室の協力を得て,病診連携・病病連携にも勤めています.これまで当院の診療圏であった人吉・下球磨・芦北地域だけでなく,宮崎県えびの市や鹿児島県伊佐市など隣県の医療機関からも多数の患者さんをご紹介いただくようになりました. 2003年9月・2004年4月・2005年5月・2006年3月・2007年3月および2008年9月にはえびの市立病院で症例検討会を開催いたしました.他の地域の先生方でこのようなご要望がございましたら,ぜひ病診連携室までご連絡ください. 連携病院・医院・クリニックの先生方の多大なご協力により,地域医療連携の質が向上しております.この場を借りまして,地域の先生方に深く感謝申し上げます. |
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