人吉総合病院 (地域支援病院 がん診療連携拠点病院 管理型臨床研修病院 日本医療機能評価機構認定施設)

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治験について 医療従事者の皆様へ

@治験って何??

 “治験”という言葉は、近年一般的に聞かれるようになってきましたが、具体的にはどんな仕事??と、まだ、医療スタッフへも十分に知られていないのが、現状です。
 治験とは、新しい薬の開発のための人を対象とした試験のことをいいます。人を対象とした試験ですから、もちろん患者様の安全を第一に考え実施されます。患者様の安全を守るのがGCP(医薬品の臨床試験実施の基準に関する省令)やIRB(治験・製造販売後臨床試験審査委員会)です。

Aなぜ、治験は必要なの?

 薬は私たちの病気の予防や治療をする上で欠かせないものです。医学の進歩と共に、薬も日々開発されています。新しい薬として承認されるためには、何度も実験・研究“お薬ができるまで”)を重ね、最終的に厚生労働省の承認・許可を得なくてはなりません。そのためには、承認される前にお薬の候補を実際に患者さんや健康な人に使用いただき、有効性と安全性を確かめる必要があるからです。
 そのため、「薬」の開発には「治験」は欠かすことが出来ず、患者様のご理解とご協力が是非とも必要です。現在使用されている「薬」もそうした方々の協力のもとに作られたものなのです。
 厚生労働省は、平成15年4月に「全国治験活性化3カ年計画」(PDF:107KB)を策定し、推進してきました。医療機関、産業界、学会等の関係団体の協力のもと、同計画を推進し、H19年3月には「新たな治験活性化の5ヵ年計画」を策定し、推進してきました。これは治験の活性化とともに日本の医療水準の向上につながり、国際的な共同研究への参加率を向上するなど、治験・臨床研究による日本発のイノベーションを世界に発信することを目標としています。

大問題 !「治験の空洞化」

新しい薬を開発する過程で、欠かせない臨床試験(治験)ですが、残念ながら、日本では環境がよくありません。わが国は、国民皆保険制度をはじめとする特定疾患医療受給などの背景が要因と言われています。米国では、真のボランティア精神や医療制度の違いに加え、治験を実施する環境(政府・製薬会社など)が整っていることから、日本とは違って多くの治験がなされています。また、この図のように、治験にかかる費用が大きい上に、承認・発売までの時間がかかる。そこで、製薬企業では、お金と時間のかからない海外で治験を行い、そのデータを基に厚生労働省から承認を受けるようになった。このような状況が“治験の空洞化”を招き、日本で用いられる薬を海外の患者(被験者)に頼ることが倫理的な批判になることや、日本の患者さんが新しい薬の恩恵に与える機会に遅れる、また、日本の薬剤開発研究開発力の低下につながる・・・といった、大きな問題につながってしまいます。

B☆臨床研究コーディネーター(CRC)ってどんな仕事?

CRCとは、Clinical Research Coordinatorの略称で、欧米ではスタディナース(Study Nurse)等と呼ばれています。医療機関において、治験責任医師・分担医師の指示のもとに、医学的判断を伴わない業務や、治験に係わる事務的業務、業務を行うチーム内の調整等、治験業務全般をサポートします。
CRCになるには特別な資格は要りません、誰でも一定の研修を受け業務につくことができます。しかし、実務の中で専門性が問われるため、看護師、臨床検査技師、薬剤師といった医療系資格や病院での臨床経験を有する方のように、医療系の知識や医療機関の仕組みを理解している方がその役目を果たすことが多いようです。数年前までは米国の認定制度が主流でしたが、日本国内の認定制度も増え、2年間のCRC実務を経て認定試験受験資格を取得し、資格を有するCRCも増えてきました。

CRCは、少しでも早くより良い薬を患者様に提供できるよう、治験をサポートしていく役割を担っています。そのためには、患者様や医師に治験を正しく理解し、安全に実施していただくため、治験関連部署との連携・調整…つまり名称のごとく、まさにコーディネート役なのです。
専任のCRCがいても、それだけでは治験は成り立ちません!院内スタッフの皆様の協力を得て、初めて円滑かつ品質の高い治験が実施できると痛感しています。徐々に院内スタッフの方へ、治験を知っていただけるよう説明会等を開催して行きたいと思っています。 

C☆臨床研究コーディネーター(CRC)の業務・役割とは・・・

CRCは患者様、治験担当医師、治験依頼者(製薬会社)の3者間のコミュニケーション(連絡、調整の充実)を図り、円滑に治験が進められるように各々をサポートする役割を担っています。
つまり、治験の倫理性・科学性・信頼性を確保し、治験を実施していく中で、患者様の安全・人権・福祉を保障する、患者様にとって一番身近な存在とも言えます。


臨床研究コーディネーター(CRC)の業務内容は多岐に渡りますが、主に4つに分類できます。
 1) 患者様のケア
 2) 治験担当医師の支援
 3) 治験依頼者との対応(モニタリングと監査)
 4) 上記3者および院内関連部署とのコーディネーション(調整役)

D治験受託の基準(製薬企業等の依頼者が施設を選定)

1) 標準業務手順書(SOP)の制定・施行
2) 治験審査委員会(IRB)・IRB事務局の設置(他施設との共同開催でも可)
3) GCP教育研修修了済医師の確保
4) 治験事務局がきちんと機能しているか
 ・ IRBの適正な運営、標準業務手順書(SOP)の設置・遵守
   治験対象疾患症例数の調査および担当する「治験責任医師」へ、
   ヒアリングおよび製薬業者との面談調整 など
 ・ 渉外業務:製薬企業との治験に関するヒアリング・契約締結作業、
   必須文書の保管・管理および依頼者対応(事務関連)
 ・ 経理業務:治験費用・研究費・被験者負担軽減費(治験協力費)の取り扱い
 ・ 医事業務:診療費の清算、製薬会社への治験レセプトの請求折衝など

E当院のインフラ整備状況

1) 治験業務の手順書の制定(第1版:2008/03/24)
  ・ 標準業務手順書(SOP)・・・治験実施時の院内基準(各業務内容等を記載)
  ・ 各種書類様式:必須文書、治験概要、被験者来院確認表など)
  ・ 各種契約書様式:治験契約書、各種支援費等に関する覚書、経費算定書など

2) 治験実施のための院内インフラ整備の進捗状況 (更新時現在)
  ・ ドクターズ会・全体会議等で治験紹介・説明実施
  ・ 医師・院内スタッフへのGCP教育研修(第1回:2008/03/17) 
    →修了者:病院長・副院長および医師26名、医療技術部門5名、看護局2名、
      医療安全管理室1名、事務部門5名、診療情報管理士2名
  (第2回:2008/08/26・28開催)
  * GCP:医薬品の臨床試験の基準に関する省令
     治験を実施する医師・治験審査委員会委員・薬剤師の受講は必須!
  ・ 治験審査委員会(外部委員を含む5名以上で構成)
    当院の構成:委員長(下川副院長)、医療専門家医師3名、コメディカル2名、
           非専門家(事務)2名、外部有識者1名
  ・ 関連部署キーパーソン選出 (随時臨床試験受託時に選出)
   薬剤部:嘉村係長、医事課:臨床試験(臨床研究)木下・平井、治験:扇本、
   経理課:作元事務局次長
   外来:藤井Ns・嶋田Ns・内谷Ns
   4階病棟:山下係長・椎葉主任
   5階西病棟:海氣Ns・椎葉香Ns
   化学療法室:渡部Ns、福屋主任、馬込Ns、矢立Ns

F治験の受託から実施・終了まで

1) 依頼者(製薬企業等)が施設を選定する
  (治験実施が出来る環境であるか:支援体制・症例数)
2) 依頼者より、医師・治験センター(CRC岩崎)へ、治験・臨床試験依頼の打診
3) 対象疾患の症例数(患者母数調査)を医師と治験センターで確認
4) 治験実施計画書(プロトコール)の合意・契約締結作業
5) スタートアップミーティング(実施にあたっての関連部署合同勉強会)
6) 被験者リストアップ、適格性確認、IC実施・取得、登録
7) プロトコールを遵守し、治験を実施
  *治験では、原資料(カルテ等)を依頼者が定期的直接閲覧(モニタリング)あり
   ※厚労省の指示により、第3者機関の監査対応あり
8) 安全性情報の確認・逸脱状況の報告
9) 治験終了→IRBで終了報告(有効性・安全性実施状況を報告)

G 治験を受託締結したら〜

☆院内関連部署の役割
 ・治験事務局:現在は、CRC岩崎が担当中(下記H)参照)
 ・医師:被験者(治験参加者)選定、同意説明、診察、有害事象の確認
     責任医師→安全性報告の確認、症例報告書記載、審査案件時のIRB出席
     分担医師→安全性報告の確認、症例報告書記載
 ・CRC:治験受託の案内時の対象疾患調査、依頼者と各関連部署のアポイント調整
     医師業務の補助(被験者選定、同意補助説明、文書作成など)、
     治験スケジ ュール管理
     被験者の来院調整、有害事象の確認と対応
     被験者および被験者家族への精神的ケア
 ・薬剤部:治験薬搬入・返却、治験実施中の払い出し・回収・服薬指導、保管管理
      *麻薬治験の場合は、
       県への申請手続きおよび治験終了後のプラセボ等記載内容修正対応
      病院長が指名した者だけが調剤に関与(治験薬管理責任者・管理補助者)
      併用禁止薬・条件付併用可能薬の確認 など    
 ・看護局:被験者の診察介助・諸計測、検査説明、来院時のCRC連絡 など
      *有害事象の確認・一般状態の観察など
 ・臨床検査部:規定検査の実施(治験実施計画書に規定された手順で実施)
          検体採血・処理・保管、検査資材の管理
          院内検査値基準値の変更の連絡(治験センターへ)
 ・医事課:保険外併用療養費制度に即した診療費清算、依頼者へのレセプト請求
      治験:検査・画像診断料、同種同効薬・・・依頼者負担(他科受診含む)
      臨床試験:一般診療同様で被験者負担
       (ただし、保険適応外項目検査時は、試験依頼者と要相談)
 ・経理課:治験実施に関連した下記費用の出納管理
      治験報酬、医師研究費、負担軽減費(銀行振込または為替、現金支給)
      医事課レセプト請求費の入金確認(医事課が入金確認する病院もある)
 ・栄養課:糖尿病等の食事負荷試験治験時の食事提供サポート
      (食事場所・電子レンジの提供など)
 ・診療情報室:治験対象疾患のデータ抽出(被験者選定補助)、被験者の診療録保管、
          監査対応支援、院内データ管理(カルテ永久保管)

H治験事務局って何?

*院内体制が確定するまで、CRC岩崎が担当
 
 ・ 治験審査委員会の事務に関する業務
 ・ 治験依頼者に対する必要書類の交付と実施に必要な手続きに関わる業務
 ・ 治験審査委員会が審査の対象とする審査資料の受付
 ・ 治験審査結果報告書に基づく両院長の治験に関する指示
 ・ 決定通知書の作成と治験依頼者・治験責任医師への通知書の交付
 ・ 治験の契約に関わる業務
 ・ 治験終了(中止)報告書の受領書および治験終了(中止)通知書交付
 ・ 治験に関する記録の保存
 ・ 倫理委員会の事務に関する業務
 ・ モニタリング、監査、規制当局による調査の対応(事務必須文書)
 ・ 負担軽減費(治験協力費)の払い出し、清算業務
 ・ 治験に係わる会計業務
 ・ その他、治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事項および支援

I治験☆CRCの紹介 

 H20年1月から、当院の治験専任スタッフ・・・臨床研究コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)として、配属になりました岩崎ユリです。
某大学病院にて、看護師として約13年の勤務の中、消化器外科病棟在籍時に、経腸栄養剤の臨床試験(医師の臨床研究)に携わったことがきっかけで、H5年からASPEN(アメリカ静脈経腸栄養代謝学)やJSPEN(日本静脈経腸栄養学会)に参加し、H7年より所属病棟・関連病棟でのNST活動を立ち上げました。その中で、医師の臨床試験や臨床看護研究を通して、“治験”に興味を持ち、治験の勉強のため思い切って退職し、博多の治験専門の会社(SMO:治験施設支援機関)に就職し2年の実務を得てCRC認定資格を取得しました。在籍した5年間で担当した主な治験は、高血圧治療薬・糖尿病治療薬(糖尿病・糖尿病発症抑制・糖尿病性抹消神経障害・糖尿病性腎症)・慢性疼痛薬・がん性疼痛薬(麻薬を含む)・胃潰瘍治療薬・胃食道逆流症・過活動膀胱治療薬・人工透析疾患治療薬などです。
 病院勤務から、全く組織体制が異なる会社に就職したことで、違った角度から病院を見ることができ、多くのことを学びました。(試練の日々で、投げ出しそうになったことも・・・)その学びをいかしつつ、まずは、医師の臨床試験(臨床研究・使用調査等)を通して、治験実施時の支援が取れるように院内の治験体制の整備に尽力し、円滑な治験の遂行を目標に努力したいとと思っています。
至らない点も多いかと思いますが、あらゆる部署の先輩スタッフに院内のシステム等を学びながら、早く、チームの一員になれるようにがんばりますので、よろしくお願いします。

お問い合せ先:治験センター 臨床研究コーディネーター(CRC) 岩崎 ユリ
TEL : 0966-22-2191 (内線746) FAX : 0966-22-7879
mail : y_iwasaki@hitoyoshi-hp.com

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